英会話は分かりあえること、TOEICは正しく完璧であること

ついこの間、以前から気になっていた、とある話題の英会話スクールの体験レッスンを受けたことがありました。

たいていどこのスクールでも、体験レッスンで目標についてのカウンセリングや簡単なレベルチェックを実施してもらいます。

私の場合は英会話コースが気になっていたので、英語の音声を聞いて質問に答えるリスニングテストと、外国人講師と英語で話すスピーキングテストを受けました。

外国人講師とのスピーキングを終えた後しばらく待っていると、日本人カウンセラーの方がテスト結果をもって部屋に入ってきました。

そこで言われたのが次のような内容です。実はこのフィードバックにすごく違和感を感じたんですよね…。

このあと他のスクールもオンライン含めていくつか体験してみたんですが、だいたいどこも同じような内容のフィードバックでした。

 

レベルチェックの結果とおすすめの学習法(フィードバック)

~~~ フィードバック 5つ ~~~

1.「リスニングについては内容を概ね理解できていますが、リピートしてもらったときに、冠詞(a, an, the)が抜けていたりします。ここはディクテーション(英語の音声を書き取る訓練)などをして聞き漏らさないようにする必要がありそうです。」

2.「英語の音声が少し速くなったときや、英語の音がつながったときに、意味を聞き取れなくなっているところがあります。英会話では意味が聞き取れなくて内容を考えている間にどんどん会話が進んで取り残されてしまうので、発音を体系的に学んで一回でしっかり聞き取れる耳をつくっていく必要があります。」

3.「聞き取った内容についてあとで質問したときに、内容を忘れてしまっていることが多々あります。聞いたときは理解できていたようですので、聞いた内容を記憶にしっかり残しておく練習がおすすめです。」

4.「スピーキングについては、そこまで大きな文法上のミスはなく、流暢に話せていますが、あまり知らない会話のテーマになると言葉につまることがあり、まわりくどい言い方になっています。ボキャブラリーを増やしていく必要があるので、単語帳をつかって単語をこつこつ暗記していくといいでしょう。」

5.「細かい話になりますが、三人称単数のs、単数形と複数形、過去形や現在形などの時制、仮定法の助詞表現などがたまに間違えているときがあります。ここは音読やシャドーイングを繰り返すことで正しい英語に直していく必要があると思います。」

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これらのアドバイスは、一見すると非常に的を得た指摘に思えるかもしれませんが、私が違和感を感じたのは何故かというと、

「日常会話において、もっと流暢に楽しく英語を話せるようにようになりたい」

というのが、カウンセラーにも伝えた、英語を勉強するうえでの私の目標だからです。

 

TOEICには「正しく完璧であること」が求められるけれど…

たしかにカウンセラーの言う通りに勉強をすれば、英語は上達すると思います。

でも、それは主に「正しさ」「完璧さ」という点においてではないでしょうか。そしてそれは、TOEICのようなペーパー試験において求められる英語力を伸ばすことに、主に効果的なのではないでしょうか。

これが私が感じた違和感の正体です。

 

「正しく完璧であること」を目指すべき?

目の前で道が二手に分かれているイメージ画像です。

課題というのは、目指すべきゴールと現在地の距離を埋めるために設定する、越えなければならない壁のようなものではないでしょうか。

そう考えると当然、目指すべきゴールが変われば課題も変わります。

さきほどのフィードバックは、目指すべきゴールを「正しく完璧であること」においているのだと思います。

だから課題が「冠詞まで聞き取れるようになる」「英語を1回で聞き取れるようになる」「聞き取った内容を忘れず覚えておく」「知らない単語を無くす」「文法上の間違いを無くす」というものになっているのでしょう。

 

英会話に「正しく完璧であること」は必要?

では「正しく完璧であること」は、英会話に必要とされるのでしょうか。

これに対する私の答えは “NO”

英会話で必要とされるのは、お互いのことを「分かりあえること」だからです。

あなたの意思や考えが相手に伝わるような英語を話せて、相手が伝えようとしていることを理解できる英語力があれば、正しい英語を話せなくても、完璧に聞き取れなくても、特に問題ありません。

 

英会話に必要なのは「分かりあえること」

会話はお互いの意思や考えを伝えあう行為なので、英会話において英語に求められる最優先事項は「分かりあえること」です。

目指すべきゴールを「正しく完璧であること」ではなく「分かり合えること」に設定すると、カウンセラーの指摘について、私が違和感を覚えた理由が分かると思います。

 

1.「冠詞まで聞き取れるようにならないと」
⇒ 冠詞が聞き取れなくても、重要なキーワードを聞き取れていれば相手の意図していることは分かりますし、話の流れや前後の文脈なども理解を助けてくれるので、そこまで不都合はありません。

2.「英語を1回で聞き取れるようにならないと」
⇒ 聞き取れなかったら相手にこう言えばいいんです。”Sorry?” “Say that, again?” “What did you say?”。それに会話は双方向のコミュニケーションなので、大抵の場合、こちらのレベルに合わせて相手が話すスピードや使う語彙を調整してくれます。

3.「聞き取った内容を忘れず覚えておけるように」
⇒ 聞いた瞬間に分かるのなら覚えておく必要はありません。これがテストであれば、長文問題やリスニング問題で把握した内容を、問題を解くその瞬間まで記憶しておく必要がありますが、会話はその場で理解できれば十分です。

4.「知らない単語をなくさないと」
⇒ 知っている単語が多いほうが会話で困るシーンが減りますが、分からなければその単語を使う内容の会話を回避するか、まわりくどい言い方になってもいいので説明して分かってもらう努力をするかすれば大抵大丈夫です。日常会話のシーンでは、単語を分からないことが理由で話が止まることはありません。もちろん話題が変わることはありますが、考えてみれば雑談はそういう性質のものです。

5.「文法上の間違いをなくさないと」
⇒三単現のsがなくても、複数形のsがついていなくても、会話では全く問題になりません。相手に意図や意思が伝わればそれで大丈夫です。ネイティブでも頻繁に間違えますし、文法上間違いでも言いやすいからという理由で成立している口語文法すらあります。

 

繰り返しになりますが、TOEICなどの試験であれば正しく完璧であることが求められるので、カウンセラーの言うことはもっともだと思います。

その場合、英語の教材を買ってシャドーイングや音読に取り組んだり、単語帳を買って片っ端から単語を覚えていったり、文法テキストで中学校の範囲をおさらいしたりするのは非常に効果的です。

もしくはビジネスシーンなら、不正確な英語を話していては信用されないでしょうし、一度で相手の言っていることを聞き取る力や、電話口で相手の要望を聞いたときなどに、その内容をしっかり記憶しておく力などは必要になるでしょう。

 

最近はオンライン英会話がだいぶ普及してきたので、気軽に外国人と話してみようという雰囲気や環境が整ってきている気がします。

でも、正しさや完璧さを重視したサービスや教育がまだまだ主流なので、実践で使える英会話力を効率的に身につけるには、よほど注意深く色々なサービスを試してみて、伝わる英語力を鍛えられる方法を探していかないといけないのだなと感じました。

 

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