英語学習を成功に導く3つの要素と、6つの挫折パターン

英語学習を成功させるには、結局のところ何が必要なのでしょう。
これまでの経験をふまえて、特に重要なことに絞ってまとめました。
※2017/6/27更新
目次
英語学習を成功に導く3つの要素
1. 夢を持ち続けている
英語学習を成功に導く1つ目の要素は、夢を持ち続けているということ。
具体的には、英語をつかって将来どのようなことをしたいか、将来どう英語を使っていたいかなどの目標を持っているということです。
夢を持つことの重要性は、どんなに強調してもしすぎることはありません。
なぜ夢を持つことが大切か。
その理由は大きく2つあります。
1-1. 学習意欲が高まる
まず、夢を持ち続けることで学習のモチベーションが高まります。
という理由で勉強している人と、
という夢をもって学習している人を比べてみれば一目瞭然ですよね。
後者の方がモチベーションが高まりやすく、逆境にも強いと言えます。
夢という言葉を使うと、10年後20年後の壮大な夢を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、もっと広い概念で考えてください。
ここで意味しているのは自分がワクワクする目標のことです。
「来年までに英会話を始める」というのも立派な夢です。
英語は、生涯学習といわれることもあるように、人生を豊かにする可能性を秘めたものです。
国外でビジネスをしたいという夢のために頑張る人がいる一方で、知的好奇心を満たしたいという目的で勉強する人もいます。
夢とはとても個人的なものなので、人と比べる必要はありません。
チャレンジしてみたいと思えるものが見つかればいいと思います。
大切なのはワクワク感。
この気持ちが強ければ強いほどモチベーションは高まる傾向にあります。
1-2. 学習すべき内容がわかる
次に、夢を持ち続けていれば、学習すべき内容が分かるようになります。
学習者は自分の夢を実現するために、その時々で最善だと思う学習をしていかなければなりません。
自分のレベルが上がれば、そのレベルに合ったものを選ばなければなりませんし、
逆になかなかレベルが上がらないときは、勇気を出して切り捨てることも必要になってきます。
参考までに、第二言語習得や英語教育・学習に関する著書を多数執筆している廣森氏は、
著書『英語学習のメカニズム: 第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法』の中でこのように語っています。
(※第二言語習得の研究によると、)学習方略それ自体に「良い方略」「悪い方略」があるわけではない。大切なことは、自分自身の適正や習熟度、目前の課題などに応じて、適切な方略を柔軟に使い分けていくということである。つまり、ある課題を遂行する上で有効だった方略が別の課題にも有効だとは限らないし、ある学習者にとって有効だった方略が別の学習者にも有効だとも限らない。(廣森2015:121-122)(※は引用者追記)
つまり、
英語学習者は、自分の必要に合わせて取捨選択をしながら、英語力を高めていく必要があるということです。
夢を持ち続けているからこそ、どの学習内容を採用すべきかが分かります。
例えば「外国人の友人をつくりたい」という人であれば、
チャットアプリなどを活用しながら実践的な練習を積み、必要になったときに文法知識にふれるという学習の仕方で構わないでしょう。
でも「翻訳家になりたい」のであれば、
豊富な文法知識が必要になるため、実践練習だけでなく日頃から文法書をつかった学習をしていかないといけません。
夢を持っていないと、興味や関心に流されながら学習を進めることになります。
自分のやっていることが本当に正しいか、きちんと夢の実現に近づいているのかが分からないまま、間違った努力を続けてしまうことになるんです。
2. 英語を使う機会がある
2つ目の要素は、実際に英語を使っているということ。
仕事で英語を使ったり、海外旅行や留学生との交流で英語を使ったりというのが分かりやすい例ですね。
英語を使うというのは、なにもコミュニケーションに限ったことではありません。
英語で書かれたハリーポッターなどの本を読む、ネットでNEWS WEEKなどのニュース記事を読む、海外ドラマを字幕なしで観るというのも当てはまります。
ここで大切なのは、
ということ。
海外ドラマを観るのであれば、
英語を学ぶために観るのではなく、ドラマを楽しむために一旦学習を忘れてドラマに没頭する必要があります。
英語を使うことが大切な理由は3つあります。
2-1. 英語をもっと学びたくなる
1つ目の理由は、学習の原動力である「向上心」や「探求心」が、英語を実際に使うことによって育まれるからです。
たとえば、大好きな映画の主人公の心情が、字幕なしで理解できるようになったとします。
そうすると、もっと英語を勉強して、いつかすべて字幕なしで観れるようになりたい!という気持ちが大きくなってきます。
成長を実感することで、やる気スイッチがバチッと入るわけですね。
英語を使う機会がなければ、勉強が本当に役立っているのか分からず、
向上心がなかなか育っていきません。
2-2. 英語学習が楽しくなる
2つ目は、英語そのものが持つ魅力や可能性にふれることで、英語学習を楽しめるようになるというものです。
英語を使えると、新しい世界が目の前に広がります。
たとえば、
- オンライン英会話で知り合った外国人講師と雑談をしている中で、日本とは違う文化や価値観についてふれることが出来たり
- ツイッターでフォローしている海外セレブのつぶやきから、その人の人柄を知ることが出来たり
- 英語で書かれたリソースや文献を読むことで、まだ日本語に訳されていない最新の情報にふれることが出来たり
といった具合です。
このような形で、英語が可能にしてくれる世界を肌で実感すると、
ますます英語を使って自分の世界や知見を広げたくなり、英語を学ぶことが楽しくなっていくんです。
2-3. 学習内容を正しく評価できる
3つ目の理由は、普段取り組んでいる学習について正しく評価できるようになるということです。
実際に英語をつかってみたときに学習の成果がきちんと表れていれば、
間違った学習をしていないということが分かります。
逆に全く普段の学習が役立っていない場合は、間違った努力をしている可能性があるので、学習内容を見直す必要があるでしょう。
もちろん、学習の効果が表れるまでに時間がかかる「多読」や「多聴」という学習もあるので
即効性だけを基準に評価するのは避けたほうがいいですが、
実際に英語をつかってみれば、少なくとも的外れかどうかぐらいは分かるはずです。
正しい評価が出来れば、勉強にも身が入るようになり、モチベ―ションも維持しやすくなるでしょう。
3. 学ぶことが習慣になっている
最後の要素は、英語学習が習慣になっていることです。
これはなにも、毎日決まった時間に学習しているということを指すのではありません。
また、毎日決まった時間数、学習しているということでもありません。
大事なのは、学習の頻度やペース、時間数よりも、日常的に英語を学習しようという意識があり、なんらかのアクションを起こしているということです。
言い換えれば、学習グセがついているかということ。
学習を続けていれば、日によっては仕事の関係で1時間しか学習できなかったりするかもしれませんし、1日たっぷり学習できるときもあるかもしれません。
その時々の状況によって、学習に費やせる時間も労力も違うと思いますが、
心のどこかに日常的に学習する気持ちがあり、出来る範囲でコツコツ進めることが出来ているということが大切なのです。
学習習慣はサーフィンのようなもの
英語学習を続けている間、あなたを取り巻く状況はどんどん変化していきます。
仕事や家事でストレスが溜まって気持ちが学習に向かなくなったり・・・
年末で仕事が繁忙期を迎えて忙しくなったり・・・
転勤や転職が決まって生活がガラッと変わってしまうこともあるかもしれません。
そのような状況でも、英語学習がきちんと習慣になっていれば、挫折することなく学習を続けることが出来ます。
これは、サーフィンをイメージすると理解しやすいかもしれません。
サーフィンは、色々な角度から押し寄せる波を的確にとらえ、タイミングを合わせてサーフボードの上に立ち、風にあおられて転倒しないように常にバランスをとりながら波に乗り続けるというスポーツです。
実際にやってみると分かるのですが、簡単そうに見えて、これが非常に難しい。
サーフボードの上は、少しでも気を抜けばバランスを崩して転落してしまう程、とてもグラグラしていて不安定です。
つまり、
を指すんです。
これは英語の学習習慣に似ています。
サーフィンでいう風や波は、英語学習でいうと日々変化する自分の気持ちや外部環境のこと。
と言うことができます。
学習習慣が身につくまでは、風にあおられて転落したり、何度も波にのまれたりするかもしれませんが、
諦めずに何度もチャレンジしていれば、次第にバランスのとり方が分かるようになり、バランスを崩さずに学習を続けていけるようになります。
一度学習グセがついてしまえば、苦労して学習時間を捻出するといったことも必要なくなりますし、日常的に英語を勉強できるようになれば、自ずと英語のレベルは上がっていきます。
英語学習6つの挫折パターン
これまで説明してきた3つの要素は、お互いに補完的な役割を果たしています。
つまり、相乗効果を発揮することで私たちの学習を力強くサポートしてくれるのです。
逆に、これらの要素のうち1つでも欠けている場合、
長い目でみたときに学習につまずくリスクがあると言えます。
ここからは、3つの要素が欠けることによって生じる英語学習における6つの挫折パターンについて見ていきます。
1. 英語学習法ジプシー
[2] 実践: ×
[3] 習慣: ×
英語学習法ジプシーとは、様々な英語学習法の間をさまよい歩いてしまうこと。
夢はあるけど、英語を実践で使うこともなく、学習の習慣もない人が陥りがちなケースです。
この場合、学んだことを実践で使う機会がないため、自分の選んだ学習法を正しく評価することが出来ません。
また、英語をつかう機会がないと、英語の魅力にふれたり学習する楽しさを感じることができないため、次第にモチベーションが維持できなくなります。
学習習慣を身につけていないことでコツコツ勉強を続けることもできず、最終的に英語学習を挫折してしまいます。
このようなケースでは、人は挫折の原因を学習法のせいにしてしまいがちです。
「もっと他に良い方法があるはずだ」と新しい学習法を探しに出かけてしまい、
色々な学習法を試しては英語がなかなか上達しないという悪循環にはまってしまうのです。
2. 実践頼り
[2] 実践: ○
[3] 習慣: ×
夢や憧れが特になく、英語の学習習慣もない。でも、実際に英語を使う機会はあるというケース。
仕事やプライベートで英語を使う機会があって特に不自由を感じることがない人や、
目標のために頑張るということに興味はないが、気が向いたときに洋楽や海外ドラマなどを英語で楽しんでいるという人がこれに当たります。
このケースのデメリットは、身につく英語力が極端に偏ってしまうということです。
英語の書籍を読んでいるだけではスピーキング力もライティング力も高まりませんし、
ただ外国人と話すだけではリーディング力やライティング力は高まりません。
また、実践を通して学ぶというスタイルは、体系的に英語を学習することができないので、学習効果が限定的になります。
例えば、いくら友達と英語で会話できても、正しい文法知識がなければブロークンな英語しか話せません。
当然ビジネスの場でも使えないし、ビジネスメールを書くことも出来ないでしょう。
3. 手段の目的化
[2] 実践: ×
[3] 習慣: ○
3つ目は、学習習慣はあるのに特に夢がなく、英語を実践する機会もないというケースです。
当初描いていた目標を忘れて目の前の学習に没頭してしまっているケースがこれに当たります。
手段の目的化とは、目標を達成するための「手段」として始めた学習が、いつの間にか「目的」になってしまうということを指します。
たとえば、英語を話せるようになりたくて、英会話教材を買った場合、
手段の目的化が起きると学習を続けていくうちにテキストを1冊やりきることが目的になり、
会話でめったに使わない表現が出てきたとしても全く気にせず学習を続けていってしまうといった状況に陥ります。
こうなると当初思い描いていた夢や憧れはどこかへ行ってしまい、
目の前の学習をただひたすらやり続けるという状態になってしまいます。
特に「この内容をマスターすれば話せるようになる」といった学習法を採用したときに手段の目的化が起こりやすいので気をつけてください。
「英語を話せるようになりたい」⇒「そのためにはこの学習をやりきらねばならない」⇒「学習を全てやりきろう」といったふうに思考が働くからです。
夢や憧れを忘れずに意識し、実践で英語を使う機会を定期的につくることで、同じ学習にずっと固執することは無くなります。
自分の達成したい夢と学習状況を照らし合わせることで、非効率で無駄な学習をしなくなりますし、
実践で使う機会があれば学習内容を正しく評価でき、効果が上がるように学習内容をより良く改善できるからです。
4. 伸び悩み
[2] 実践: ○
[3] 習慣: ×
4つ目は、3つの要素のうち学習習慣だけがないケースです。
これは例えば、普段から外国人とコミュニケーションをとる機会があり、将来の夢も明確に意識しているけど、
テキストなどを使って定期的に学習をしているわけではない、というようなケースです。
このやり方をしている限り飛躍的な学習効果は期待できず、いずれ伸び悩みの時期を迎えてしまうでしょう。
なぜなら、実践によって「すぐに使える」即効性の高いスキルや知識を場当たり的に習得するだけだと、
将来的に必要になる「いずれ使える」知識を習得したり総合的な英語力を高めたりすることは出来ないからです。
また、実践の場では、自分の弱いところを克服する学習や、更なるレベルアップを目的とした学習を行うことも出来ません。
目標達成に必要な英語力を着実に高めていくためには、アウトプット重視の実践型学習だけでなく、
インプット重視の理論型・自習型学習を行うことも必要なのです。
5. 独りよがり
[2] 実践: ×
[3] 習慣: ○
次の挫折パターンは、3つの要素のうち実践で使う機会がないケースです。
これは多くの英語学習者に当てはまることかもしれません。
厳しい言い方をすれば、実践で使う機会がない英語学習は、実際に使えるかどうか分からない独りよがりのものになってしまっている可能性があります。
実践で英語を話す機会がなければ、今やっていることが本当に効果的かどうかの判断ができません。
つまり、
せっかくの努力が無駄になってしまう危険性があるのです。
6. 短期的学習
[2] 実践: ○
[3] 習慣: ○
最後は、学習の習慣が身についていて、学んだことを実際に使う機会もあるのに、
長期的な目標としての夢を持っていないというケースです。
仕事や日常生活で英語を使う機会があり、そのための学習もきちんと行っているが、
特に目標を意識して頑張っているわけではない、という人がこれに当たります。
この場合「実践でしっかり英語を使えるようになる」というのが、普段の学習の目標になっているので、
短期的に効果を発揮する学習は出来ています。
しかし、長期的に成し遂げたいものに向かって努力をしているわけではありません。
将来的に何か成し遂げたいことがある場合、それを意識的に目標として設定しておかなければ、
学習の効果は限定的になり目標を達成することが難しくなります。
学習内容は、将来達成したい目標によって柔軟に変えていくようにしましょう。
常に学習を進化させよう
英語学習を成功に導くためには、学習状況を定期的にチェックし、より良い学習状況を実現していくことが欠かせません。
この記事に紹介した成功に不可欠な3つの要素と6つの挫折パターンを参考にしてもらえれば、
効率的・効果的に学習状況を見直すことができると思いますので、必要なときに見返して参考にしてみてください。
また、英語の勉強に挫折しそうになったり、英語学習に漠然とした不安や迷いを感じた時などに拾い読みしてもらっても、
どこかにヒントや気づきを発見することが出来ると思います。
「千里の道も一歩から」です。
学習の仕方を少しずつ進化させ、より良い学習環境をつくっていきましょう。