英語リスニングの質を飛躍的に高める精聴トレーニング

聞き取れない英語を、ひたすら聞き続けてもリスニング力は上がりません。
きちんと時間をとって、聞き取れる英語を増やすトレーニングをしていきましょう。
※2017/6/8更新
目次
リスニングにおける精聴とは
リーディングで「精読」「多読」という言葉があるように、
リスニングにも「精聴」「多聴」という言葉があります。
「精聴」とは英語を正確に聴き取っていくトレーニングのこと。
単語ひとつひとつを丁寧に聞き取っていくことで、聴き取りの精度を高めていくことができます。
一方で「多聴」は、一気にたくさんの英語をスピーディーに聞き流すこと。
英語のリズムやスピードに耳を慣らす目的で行うトレーニングです。
今回は、より正確に英語を聞き取れるようになりたい人向けに、精聴トレーニングのやり方を紹介します。
精聴トレーニングのやり方
具体例があったほうが分かりやすいので、私が実際に使っていた教材を例に説明していきます。
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アルクの「究極の英語リスニング」
1. 精聴するものを選ぶ
まず最初に、教材の中から精聴に使うテーマやストーリーを選んでください。
2. 英語の意味を聞き取る
次に、音声を流してストーリーを聞きます。
このときのポイントは、
冠詞や前置詞など、細かい単語に気をとられないようにすること。
まずは大まかに、話の内容を聞き取るようにしてください。
聞き取る量を多くしない
一度に聴く量は3~5行ぐらいにとどめておくようにしましょう。
キリのいいところまで聞いたら一度ストップします。
例で言えば、最初のセリフ “Mom and Dad” から4行目の “Good Idea.“の一文ぐらいまででしょうか(下図)
内容をしっかり理解できている場合は5,6行ぐらいまで聞き取ってもいいと思いますが、
一気に聞き取るのは、リスニングの集中力が切れない長さにしておきましょう。
精聴は、英語を正確に聞き取るトレーニングなので、短い文章で構いません。
3. 何度も聞き取りに挑戦する
一回目の聞き取りが終わったら、繰り返し何度も同じところを聞きます。
このときも、単語レベルではなく「内容」を理解するように努めます。
1回目より2回目、2回目より3回目というふうに聞き取りの精度を高めていき、
英語の意味をしっかり理解できるように頑張ってください。
なぜ何度も聞き取りをするのか
何度も聞き返す理由は、
なるべく広範囲の音をひろえるように耳を慣らすためです。
例えば1回目に聞こえたのが、以下のような場合
- Girl: Mom and Dad — 18 years —. Let’s — something — for them.
- Boy: We — cook — — dinner — —.
- Girl: Good idea. What — — think they — like — eat?
2回目には、次の太字のように聞き取れることが増えているはずです。
- Girl: Mom and Dad married 18 years —. Let’s — something special for them.
- Boy: We could cook — nice dinner for them.
- Girl: Good idea. What — — think they would like — eat?
これは1回目に比べて
2回目のほうが、聞き取れなかった音に意識を集中できているからです。
1回の聞き取りでは、どうしても聞き取りやすい音が先に耳に入ってきます。
そこで、
2回、3回と繰り返して、聞き取りにくい音に意識がいくように働きかけるんです。
そうすることで、
聞き取れる音が増え、リスニングの質が上がっていきます。
4. 英語を書きとる
次のステップは英語の書き取りです。
音声を止めながら、聞こえてくる英語をどんどん書きとっていきましょう。
英語を書きとろうとすると、単語レベルで正確に聞き取ろうとするため、
これまで聞こえていなかった単語が耳に入ってくるようになります。
5. 答え合わせをする
書き取りが終わったら、和訳と英文を使って答え合わせをします。
5-1. 和訳でストーリーを確認する
自分が想像していた内容が合っていたかを和訳を見て確認します。
間違っていた場合は、
どの単語や英語表現を聞き漏らしていたか確認するようにしてください。
単語のもつ独特のニュアンスや文法について理解が深まります。
特に考えても分からないところは、記憶に残りやすいので、
ネットや文法書で調べるなどして、この機会に疑問を解消しておきましょう。
5-2. 書きとった英文の答え合わせ
間違っている箇所を添削し、もう一度音声を聞いて答えの通りに話されているのを確認します。
そうすることで、
聞き取りが苦手な音やリズムなどを耳に覚えさせることができます。
スッと聞こえるようになるまで、繰り返し聴くようにしてください。
5-3. 英文を声に出して読む
全文、もしくは聞き取れなかった文章を、声に出して読んでおきましょう。
こうすることで、
発音できる単語が増えるので、聞き取れる範囲も広くなります。
ポイントは、できる限り音声に近い発音を心がけること。
大きく口をあけて、はっきりクリアに発声しましょう。
鏡で口元をチェックしながら練習すると、とても効果的です。
6. 精聴トレーニングの注意点
いきなり「英語の書き取り」に入らない
コミュニケーションは、英語を一字一句すべて理解できなくても成り立ちます。
むしろ、リアルな英会話では
聞き取れない部分があるほうが普通です。
ですので、
聞き取れない部分があっても話の内容を理解できる力を育てることが大切です。
ところが、
いきなり英語を書きとろうとすると、その力がうまく育ってくれません。
たとえば “I gotta go!” (もう行かなきゃ!)という言葉。
意味を理解しようと意識していると、たとえ “I gotta” の部分が聞こえなくて “— — go!” と聞こえたとしても、ストーリーの背景や会話の流れ、 “go!” という言葉の意味をたよりに「あぁ行かなきゃいけないんだな」と類推できます。
でも、英語を書きとろうと意識していると、 “I gotta go!” という英語表現全てを書きとろうとしてしまい、「”アガラ go!” って聞こえたぞ?アガラ・・・”a got a” かなぁ」といったふうに、意味を想像することに集中できなくなってしまうのです。
精聴トレーニングを行うときは、
まず最初にざっくりと話の内容をつかむ練習をするようにしましょう。
精聴トレーニングは単語レベルが易しい教材を使う
あまりにも分からない単語が多いリスニング教材はやめましょう。
「知らない単語が多い」ことで、精聴トレーニングの効果が半減してしまうからです。
BBCやCNNといった難しい単語ばかりの英語ニュースを聞き取れと言われてもなかなかはかどりませんよね。
単語レベル別にまとめられているリスニング教材としてお勧めなのが、
アルクの「究極の英語リスニング」
日常会話を中心に、旅行や仕事のシーンなど豊富なストーリーが収められているので、
自分の単語レベルにあったものが一冊あれば、かなり重宝すると思います。
興味のある方は、この機会に一度チェックしてみてはいかがでしょう。