コツは感情移入!?英会話の流暢さを鍛えるモノマネ学習法

ある程度英語が話せるようになってきた時に、次の課題としてよく挙がるのが「流暢さ」の問題。
ネイティブのように、流れるように話そうとしても
- 舌がもつれてしまう
- 口がうまく動かない
- 話すスピードが上がらない
こんな風になっていませんか?
そこで今回紹介したいのが「モノマネ学習法」。
この学習法は、ドラマや教材に登場する人物のセリフをモノマネするというシンプルなものなんですが、
やればやるほど滑らかに英語が話せるようになっていくんです。
目次
英語を流暢に話せるようになるには
具体的な学習法の解説に入る前に、
について、ふれておきたいと思います。
独学で英会話力を高める文法学習法で、スピーチプロダクションモデルというのを紹介しましたが、
私たちは言葉を話す時、3つの段階をたどると言われています。
- 話す内容を決める
- 言葉を組み立てる
- 正確に発音する
私たちは日本語を話す時、この3つのプロセスを「意識せず」「かなり短い時間で」たどっています。
誰かと会話しているところを思い出してみてください。
話す内容を決めるのとほぼ同時に、言葉を組み立てて口に出していますよね。
一方で、話し慣れていない英語のような言語で話すときは、3つの段階を「意識的に」「時間をかけて」クリアしていかなければなりません。
という風に、1つ1つの作業を丁寧に行わないと話すことができないんです。
このことから、
英語を流暢に話せるようになるには、私たちが日本語で自然に行っているように、3つのプロセスを素早く一気にクリアできるようにならないといけないことが分かります。
モノマネ学習で流暢さが改善する
そこで効果的なのが、今回紹介する「モノマネ学習法」。
この学習法を実践すれば、3つのプロセスを一気に処理できるようになり、会話が次第に流暢になっていきます。
例えば、
という英語を話すときのことを考えてみましょう。
英会話レッスンを受けている最中、講師から新しいレッスンを提案されたとします。
まだ英語が流暢に話せない場合は、頭の中で3つの作業が順番に行われることになります。
こんな感じでしょうか。
- 「面白そう!」って言いたい
- 面白い=interesting、~のように思える= sound、これを組み立てるとThat sounds interesting
- 声に出して …“That sounds interesting!”
これでは一言話すのにも、相当時間がかかってしまいますね。
一方で、日頃からモノマネ学習法に取り組んでいる場合は、
講師のアイデア面白いと思った瞬間、
ドラマの中で主人公が
と言っているシーンが思い出され、瞬間的に英語が口から飛び出します。
なぜかというと、
モノマネ学習のなかで、既に同じような会話シーンを体験したことがあり、自然な答え方が感覚として身についているからです。
「言いたいことを頭に思い浮かべた瞬間に、口から英語が出る」というのは、私たちが日本語を話すときにやっていることと同じですよね。
これはまさに、3つの言語プロセスを一気に処理することができているということに他なりません。
抑揚やアクセントも自然になる
モノマネ学習で身につくのは、反射神経だけではありません。
英語を流暢に話すのに欠かせない、イントネーションやアクセントも自然になっていきます。
モノマネ学習法は、音読のようにただ英文を読むだけじゃなく、
登場人物の気持ちに寄り添って「あたかも自分がその状況にいるかのように感情移入して話す」という学習法です。
具体的には、
落ち込んでいる友達を励ますシーンでは、心の底から友達に同情し、試験の合格通知を受け取るシーンでは、感情を爆発させて喜びます。
言葉というのは感情や想いがのったものなので、
ナチュラルな抑揚やアクセントを身につけるには、話し手の気持ちを想像することが欠かせません。
例えば、
というセリフ1つをとってみても、
と、
では、イントネーションや強調するところが違います。
抑揚やアクセントが自然になり、言葉に感情がのってくるようになると、英語の流暢さが改善します。
英語にどんどん馴染み、自分が話す英語に違和感を感じなくなるからです。
さきほどの例で言えば、
頭で考えてから “What was I supposed to do?” と口にするのではなく、「どうすればよかったんだ?」と思ったときに、”What was I supposed to do?” という英語が自然に出てくるようになります。
「Wow!」や「I see.」のような、相槌を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
使い始めて間もないころは、使っている自分に違和感や照れを感じたと思いますが、何度も使っていると感情が結びついてくるので、自然に口から出てくるようになりますよね^^
モノマネ学習法の具体的なやり方
それでは具体的な学習法に入っていきましょう。
学習法は全部で5つのステップに分かれています。
- 教材・テキストを選ぶ
- 会話シーンを選んで聞く
- 疑問点を解消する
- 本気でモノマネする
- 会話を再現する
STEP1. 教材・テキストを選ぶ
まずはモノマネ学習法につかう教材やテキストを選びます。
教材・テキストを選ぶ基準
教材やテキストを選ぶときは、1)会話シーンが豊富なもの、2)自分の目標やレベルに合ったもの、3)音源と会話スクリプトがあるもの、を選ぶようにしましょう。
理由や注意点をそれぞれ簡単に説明しておきます。
1. 会話シーンが豊富なものを選ぶ
モノマネ学習に向いているのは、会話シーンがたくさん載っているものです。会話シーンが多ければ多いほど、様々なシーンにおける会話を練習できるからです。
また、会話には特有のテンポやリズム、話し方があります。
例えば、ダラダラと話すのではなく簡潔に要点を押さえて話すことが求められたり、的確な相槌やリアクション、質問というのが求められたりします。
会話シーンが多ければ、それだけ参考になるコミュニケーションや表現が多くなるので、モノマネ学習によって習得できることもその分多くなります。
2. 自分の目標やレベルに合ったものを選ぶ
教材を選ぶ時は、自分の目標も考慮しましょう。
例えば、海外旅行で使える英語を学びたいのであれば、海外旅行での会話シーンが豊富におさめられているものを選ぶといいでしょう。
例えば、海外で道を尋ねる、レストランでトイレはどこかと尋ねる、カフェでコーヒーを注文する、ホテルで忘れ物をしたことを受付に説明する、といったようなシーンで学習すれば実践でつかえる英語力が身につきます。
同様に、英語での会議を成功させたいなら、そのようなシーンが含まれている英会話教材が最適です。
また、自分のレベルに合ったものを選ぶということも大切です。
詳しくは後ほど説明しますが、モノマネ学習法では、登場人物の台詞をモノマネする前に、言葉の意味や文法・発音などについて理解するステップがあります。
理解できていないことは、いくらモノマネが上手くなっても実際の会話で使えるようにならないからです。
自分のレベルに合っていないものを選んでしまうと、このセリフを理解するステップでつまづく可能性が高くなるので、自分に合ったレベルの教材を選ぶことが大切になります。
3. 音源と会話スクリプトがあるものを選ぶ
3つ目のポイントは、音源と英文が書かれたスクリプトがあるものを選ぶということ。
本屋で売られているような教材やテキストには、音源もスクリプトも付いているのが普通なので大丈夫だと思いますが、念のため確認しておきましょう。
海外ドラマやYouTubeの会話動画などを使いたい場合は、字幕を事前に書きとって手元に用意しておく必要があります。
実際にやってみると分かりますが、字幕を見ながらモノマネをするのはかなり難しくて非効率だからです。
初級レベルの人は、海外ドラマのセリフは速くてついていけない可能性が高いので、レベルに合った教材を手元に用意したほうがいいかもしれません。
どうしても使いたいという人は、短いセリフに絞ったり、理解できるところだけ練習するなどの工夫をしてみましょう。
STEP2. 会話シーンを選んで聞く
教材を選んだら、モノマネ学習に使うシーンを選びましょう。
コツを掴むまでは結構疲れるので、短いセリフから始めて、少しずつ伸ばしていくのがポイントです。
シーンを選んだら、全体をざっと聞きます。
最初からスクリプトを見てもいいですが、できれば何も見ずにリスニングに挑戦してみてください。
だいたい内容が把握できたら次のステップへ進みます。
イマイチ理解できなかったという人は、何度か繰り返し聞いてみましょう。
STEP3. 疑問点を解消する
全体像を把握した後は、セリフの分析と疑問点の解消に入っていきます。
具体的には、次の3つを確認しておきましょう。
- 単語
- 文法
- 発音
疑問点や分からないことがなくなったら、いよいよモノマネに入ります。
ここで疑問点を解消しないまま進むと、感情移入することができなくなるので、モノマネ学習の効果が半減してしまいます。
理解できていないセリフを覚えても、自信をもって使えませんよね。
STEP4. 本気でモノマネする
モノマネは、スクリプトの前から順番に、短く区切りながら行います。
セリフを聞いたら一時停止をしてモノマネし、モノマネが終わったら再生して次の文章にうつります。
一文が長い場合は、モノマネしやすい適度な長さに区切るようにしてください。
↓こんな感じです。
モノマネ学習の効果を高めるポイント
モノマネ学習に取り組むときは、以下の3つを意識すると効果的です。
1. 感情
舞台に立っている俳優や女優のように、その人を完全にコピーするのがポイントです。
本気でその人の気持ちにシンクロすると、声が大きくなったり身振り手振りが入るかもしれませんが、それで構いません。
むしろそのぐらいどっぷり気持ちに共感することで、同じような状況で同じ気持ちになった時にセリフが勝手に口から出てくるようになります。
2. 抑揚、強調
イントネーションやアクセントは、感情がこもっていると自然に似てくるようになりますが、なぜそうなるのかを理解するのが大切です。
どういう気持ちのときに抑揚がついていて、どの単語が強調されているのか、それは何故なのか、を全体の文脈も踏まえて理解しましょう。
言葉で説明できなくてもいいので、英語特有のイントネーションやアクセントを身体に染み込ませることを意識してください。
たくさんセリフを読んで練習をしているうちに、自然な抑揚と強調の仕方が身についてきます。
3. リズム、発音
Check(チェック)it(イット)out(アウト)が、Check it out(チェケラ)になるように、英語は日本語と違い、音がどんどんつながっていく言語です。
なので、単語ひとつひとつがしっかり発音できて意味が分かっても、文章としてつながった時に読めなければ、英語を流暢に話せるようにはなりません。
モノマネをするときは、登場人物と同じリズムや発音スピードで話せるようになるまで何度も繰り返しましょう。
最初はもたついたり口がうまく動かないかもしれませんが、何度もチャレンジしているうちに慣れてきます。
ただし、発音についてしっかり理解できていることが大前提。
という状態では、何回練習してもネイティブと同じようなリズムや発音で話すことはできません。
発音についてつまずくことが多いという人は、一度しっかり時間をとって発音について学ぶことをお勧めします。
参考記事⇒アルファベットの発音から始めて正確な英語の発音を身につける方法
STEP5. 会話を再現する
最後のステップは「会話の再現」です。
これまでモノマネしてきた内容を、スクリプトを見ながらで構わないので再現します。
ここをしっかり頑張ることで、理解が曖昧なところが明らかになり、学んだことをしっかり定着させることができます。
再現するときは大きく2つの方法があります。
1. アカペラ
音源を再生せずにモノマネで会話を再現します。
舞台俳優や女優が、台本を片手にリハーサルを行っているようなイメージです。
ここでもポイントは「登場人物になりきること」です。
感情、抑揚、強調、そしてリズムや発音をそっくりそのまま再現できるように頑張りましょう。
2. ロールプレイング
音源を流して、自分が決めた役割の時だけ英語で話すという方法です。
ロールプレイングは、英会話レッスンなどでもよく使われます。
このやり方のいいところは、あたかもその会話に自分が参加しているかのような感覚で英語を話す練習ができるということ。
自分が決めた役割になりきって話さなければいけないので、ネイティブと同じスピードでナチュラルに話さなければいけません。
もたもたしていると次のセリフが始まってしまうので、会話の流暢さを鍛えるのに非常に効果的です。
途中で役割を変えてトライしてみると、話し方や話すリズム・テンポの違いも分かるので面白いですよ^^
モノマネ学習法にお勧めの教材
最後に、モノマネ学習法にお勧めの教材を紹介します。
特徴やどんな人に向いているかも併記しておくので、参考にしてください。
NHKラジオ英会話(基礎英語シリーズ)
究極の英語リスニング(シリーズ)
日常フレーズで覚える「つぶやき英語」レッスン
NHKおとなの基礎英語DVD(シリーズ)
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