英会話学習における失敗しない単語帳の選び方

単語帳を選びに本屋にいくと、様々なタイプの単語帳を目にすると思います。
そんなとき、パッと手に取って覚えやすそうかどうかを確かめる、というのが一般的な選び方だと思いますが、
英会話の勉強を考えたとき、実はこのやり方はおすすめできません。
今回は、
という人のために、失敗しない単語帳の選び方をお伝えしたいと思います。
目次
英単語帳を選ぶ3つの観点
単語帳選びに失敗しないためには、以下3つの観点を考慮しなければなりません。
- 英単語をどう覚えるか
- 単語帳をどう使うか
- 学習をどのように進めるか
そうしないと学習効率が悪くなり、単語学習を挫折してしまう可能性があるからです。
というようなことが起こるのは、これらの観点を事前にしっかり考慮できていなかったからに他なりません。
逆に言えば、これらの観点をふまえて単語帳を選べば、単語学習がスムーズに進む可能性が高いということです。
それでは各観点をどのように考慮すればいいのか、
1つずつ具体的に説明していきたいと思います。
1. 英単語をどう覚えるか
まず一つ目は、「英単語をどのように覚える必要があるか」という観点です。
世の中には様々な単語帳がありますが、それらが推奨している単語の覚え方には違いがあります。
例えばこんなふうに・・・
- イメージで記憶
- マインドマップ
- 語呂合わせ
- 接頭・接尾語で集約
- 英文に含めて暗記
- フレーズとセット
この中から最適なものを選ぶには、
どの覚え方が自分の目的にあっているかを知っていなければいけません。
例えば、
なら、英文やフレーズとセットで単語を覚えたほうが効果が期待できるし、
なら、マインドマップのような「大量の単語をイメージマップで一気に覚えられる記憶法」を試したほうが場合によっては効率的です。
それでは、英会話を学ぶ場合は、どのように単語を覚えればいいのでしょうか。
これを理解するためにはまず、英会話に求められる単語力を明らかにする必要があります。
英会話に求められる単語力
英会話に求められる単語力は、
- リスニング
1. 単語を聞き取れる
2. 聞いてすぐ理解できる - スピーキング
3. パッと単語が思いつく
4. 正しく発音できる
の4点です。
リスニングの際は、相手の言葉・単語を耳でキャッチして、その瞬間に意味を理解する力が求められ、
スピーキングの際は、言いたい事を伝えるのに適した単語を思いつき、正しく発音する力が求められます。
このことから、
英文やフレーズ、語呂合わせなどで覚える方法は適さないことが分かります。
相手の言葉を聞いている最中に、記憶した英文や語呂合わせを思い浮かべていては、会話になりませんし、
言葉を話すとき、いちいち上記のことを思い浮かべていては、時間がかかって仕方ないですよね。
「聞ける、分かる、言える」ようにする
英会話に適した覚え方は、いたってシンプルです。
それは、
英単語の「文字(つづり)」「発音」「意味」をワンセットで覚えること。
例えば、こんな感じです。
※発音の仕方はこちら(Weblio辞書)
このようにワンセットで覚えておけば、”consult” と聞こえた瞬間に、「相談する」という意味がすぐ理解できるようになり、
逆に「相談する」という言葉をつかいたいときに、”consult” という単語が正しい発音で口から出るようになります。
また、単語が内包するイメージを理解することも重要です。
例えば “consult” には「相談する」という中心的な意味の他に、「考慮する、意見を聞く、医者が診断する、辞書を調べる」という意味があります。
このことから、”consult” が「相談する」という限定的な行為だけでなく、物事を分析したり調べたりするという意味も含む単語であると分かりますね。
このイメージをもっておけば、
“consult” がどんな意味で使われても、会話の流れなどを参考に意味を大まかに推測できるようになります。
まとめると、単語を覚えるときは、
- 単語の中心的な意味
- 単語が内包するイメージ
この2点をおさえることが重要であり、
ことが単語の覚え方として効果的ということです。
そのため、
単語帳を選ぶときは、この覚え方に合った仕様のものを探す必要があります。
2. 単語帳をどう使うか
次に考えておかないといけないのが、単語帳を使ってどのように勉強していく必要があるかということです。
なぜなら、これをふまえたうえで使い勝手のいい単語帳を選ばないと、
勉強がはかどらず、学習効率が下がる恐れがあるからです。
単語学習に求められること
単語帳の使い方を考えるにはまず、単語学習に求められることを理解することが必要です。
単語学習に求められること
- 継続学習
単語は長期にわたってコツコツ習得していくもの。日常会話に必要とされる単語数は多く、短期間で習得しきれるものではないため、継続的な学習が必要になる。 - 並行学習
単語の勉強は、文法や会話の練習などと並行して取り組む必要がある。単語だけでは英語を話せるようにならないし、単語は普通、文法知識や英作文スキルなどと一緒につかわれるため。 - 反復学習
単語は何度も反復して学習することで記憶に定着するので、繰り返し学習が前提となる。
つまり単語の勉強は、1ヶ月やそこらで終わるようなものではなく、文法などと並行して、習慣的に繰り返し学んでいかなければならないものだということ。
単語帳を選ぶときは、この前提にたったうえで、使い勝手を追求することが重要になります。
例えば、
継続的な学習習慣をつくるために通勤の隙間時間に勉強するなら、持ち運べるコンパクトなサイズの単語帳を選んだほうがいいし、
反復学習に取り組みやすいように、赤チェックシートや音声をつかって手軽に復習できる単語帳を選ぶのも効果的です。
単語帳によっては音声がついてなかったり、赤チェックシートで学習できるようになっていなかったりするので、
使い方を考えずに単語帳を選ぶと、いざ学習するときになってから後悔するということになりかねません。
3. 学習をどのように進めるか
最後の観点は、単語学習をどのように進めていくかです。
言葉を換えれば、学習方針を明確にするということ。
日常会話に必要とされる単語の数はとても多いので、
単語を覚えていく順番やステップを決めておかないと、先が見えないマラソンのように、単語の勉強がしんどくなってしまいます。
単語学習の進め方
単語を学ぶときは「必要なところから順番に」、そして「内容を飛ばさず丁寧に」勉強していくようにしましょう。
単語学習の進め方
- 段階的に学ぶ
自分の語彙力を認識し、頻出・重要なところから順番に学ぶこと。つまり「自分の力量に合ったところから」、そして「会話によく出るところから」学ぶ。 - 網羅的に学ぶ
自分が学んでいる段階(レベル)で必要とされている単語を、飛ばさず、まんべんなく学ぶこと。
このように学習を進めていけば、使える可能性が高いものから順番に習得できるし、語彙レベルを一歩ずつ着実に高めていくことができます。
そして単語帳を選ぶときは、この学習方針に沿ったものを選ぶことが大切です。
例えば、
覚えやすさを重視するあまり、レベルや重要度の違う単語をグルーピングしてまとめてある単語帳や、
「英会話に必要なのはこれ1冊!」のようなコンセプトで、最低限の限られた単語しか載っていないものは、避けたほうがいいでしょう。
それよりも選んだほうがいいのは、
使用頻度やレベル、重要度などで段階的にグループ分けされていて、各段階において必要とされる単語が、網羅的におさめられているような単語帳です。
英会話におすすめの単語帳
最後に、これまでに紹介してきた「単語帳を選ぶ観点」すべてを考慮したうえで、英会話におすすめの単語帳を紹介したいと思います。
お勧めの単語帳はどちらもシリーズ化されているもので、「キクタン」「英単語ターゲット」の2つ。
それぞれ特徴がありますが、
この2つを選んだ理由は、以下のような共通点をもっているからです。
おすすめの単語帳に共通すること
- ページ構成
「単語→中心的意味→例文」というシンプルな構成になっていて、見やすく使い勝手がいい。文字、発音、意味のワンセット学習がしやすい。 - コンパクト
持ち運びに便利なハンディータイプ。カバンに入れてもかさばらないので、「文法の学習は机に座って、単語学習はすきま時間で…」というような学習が可能。
また、すきま学習は習慣にしやすく継続学習にも向いている。 - 赤シート付属
一度学んだ内容を、手際よく確認できるため、反復学習に向いている。 - 音源(英語⇒日本語)
こちらも反復学習向き。英語⇒日本語の順番で音声が収録されているため、聞いているだけで単語の復習ができるメリットがある。 - シリーズになっている
独自の基準で頻出・重要・レベル順に整理されているため、自分に合ったレベルから段階的な学習が可能。
また、各段階において必要とされる単語が網羅的に収録されているのも魅力。様々なタイプの単語帳をつかうとレベルや単語が重複する心配があるが、シリーズになっているためその心配もない。
これらの共通点はすべて、単語帳を選ぶうえで外せない特徴です。
1. キクタンシリーズ
キクタンは様々な英語教材を手がけているアルクがつくっている単語帳です。
この単語帳の特徴は、チャンツと呼ばれる仕組みにあります。
チャンツとは「耳から単語を覚える」というコンセプトでつくられているリズム学習のことで、
軽快なBGMに合わせて、ナレーターが「英語⇒日本語⇒英語」という順に単語を読む音声が、付属のCDに収録されています。
また、TOEICや英検にも幅広く対応できるようにつくられているのもポイント。
レベル別語彙リストSVL12000というアルク独自の単語リストがつくられ、ネイティブの使用頻度をベースに日本人英語学習者のために「有用性」「重要性」を考慮したレベル分けがなされています。
2. ターゲットシリーズ
英単語ターゲットは主に学生向けの学習教材を手がけている旺文社がつくっている単語帳です。
受験でお世話になったという人も多いのではないでしょうか。
このシリーズの特徴は、一語一義というコンセプトにあります。※シリーズのうち「中学英単語1800」は除く
一語一義というのは、単語と中心的な意味が1:1で収録されているということ。
もちろん他の意味も載っていますが、中心的な意味が見やすく大きめに掲載されているというところに特徴があります。
また、キクタンよりサイズが小さく片手で持てるようになっていたり、軽量紙をつかっていたり、開きやすい製本になっていたりと、随所に工夫が見られます。
キクタンとは違って受験色が強いので、「入試で出る順」などになっているのが残念ですが、軽く、持ちやすく、シンプルな構成で取り組みやすいのは大きな魅力だと思います。
英会話・語彙レベル別
キクタンシリーズ、ターゲットシリーズそれぞれについて、英会話・語彙レベル別におすすめの単語帳を紹介します。
各単語帳の中身をチェックする方法も合わせて紹介するので、自分のレベルや目的に合ったものを選ぶ参考にしてください。
初心者・ビギナーにおすすめ
キクタン【中学英単語】
英語入門~/中学~高校入試
- 収録:896語
- 音源:付属CD、例文音源は、ネットからダウンロード可
- 付属:赤シート
中学英単語ターゲット1800
英語入門~/中学~高校入試
- 収録:1840語
- 音源:ネットからダウンロード
- 付属:赤シート
初級レベルの人におすすめ
キクタン【Basic】
高校~センター試験・中堅私大/英検3~2級/TOEIC 350~600点/GTEC 400~550点 ※参考: アルク学参シリーズ「キクタンファミリー」
- 収録:1120語
- 音源:付属CD
- 付属:赤シート
英単語ターゲット1200
高校~センター試験
- 収録:1700語(中学復習200語+高校必修1200語+熟語300)
- 音源:ネットからダウンロード
- 付属:赤シート
- 内容の確認:試聴はできないが、googleブックス【ターゲット1200】のページで単語帳の中身を確認できる。
中級レベルの人におすすめ
キクタン【Advanced】
センター試験~難関大学/英検準2~準1級/TOEIC 470~800点/GTEC 450~800点 ※参考: アルク学参シリーズ「キクタンファミリー」
- 収録:1120語
- 音源:付属CD
- 付属:赤シート
英単語ターゲット1400
センター試験~中堅私大
- 収録:1400語
- 音源:ネットからダウンロード
- 付属:赤シート
- 内容の確認:試聴はできないが、googleブックス【ターゲット1400】のページで単語帳の中身を確認できる。
中上級レベルの人におすすめ
キクタン【Super】
中堅私大~超難関大学/英検準1級~1級/TOEIC 600点以上/GTEC 800点以上 ※参考: アルク学参シリーズ「キクタンファミリー」
- 収録:1120語
- 音源:付属CD
- 付属:赤シート
英単語ターゲット1900
センター試験~国公立2次試験・難関私大
- 収録:1900語
- 音源:ネットからダウンロード
- 付属:赤シート
- 内容の確認:試聴はできないが、googleブックス【ターゲット1900】のページで単語帳の中身を確認できる。

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